鎌倉の海辺をのんびり歩いていると、ふいに目にとまる淡いピンク色の貝殻があります。
桜の花びらのように、ほんのり色づいていて、透明感があって、可憐で、美しい。
とても軽くて、薄くて、そっと優しく触れないとこわれてしまいそうな繊細なもの。それが、桜貝です。
潮の満ち引きや風向き、海流によって、気まぐれに波が海岸に運んできてくれますので、必ず拾えるとは限りません。
砂浜に毎日たくさん届く、海からの贈りもののなかに桜貝を見つけたときは、
ずっと探していた宝物を拾ったような、良いことが起こりそうな予感がするのです。
内湾性の貝で、年々その姿は少なくなっているそうです。他の種類との見分け方は、貝どうし繋がっているほうが、若干とがった感じになっているので、他の桜貝より台形っぽく見えます。少量ですが割と年間を通して拾える印象があります。
リノドロップスでは「ホンザクラ」と呼んでいます。
外洋性の貝で、桜貝より丸みを帯びた感じ。パステルカラーの様々な色があり、ピンク・レッド・オレンジ・ホワイトの順で希少な色味になります。年に数回、まとまって拾えることがあります(ただ、潮の満ち引きの関係でそのチャンスは数時間)。
桜貝や樺桜に比べて、ちょっと厚め。型が全体的にとがっていて、縞模様もくっきり。色もはっきりした濃い桃色のものが多いです。湘南では割と貴重。日本海側の方が多い印象です。別名 エドザクラ。
桃花貝の親分みたいな貝です。大き目なので、海岸では比較的見つけやすい(目に入りやすい)貝です。かなり厚いのですが、大きなものほど色が薄くなってきます。稚貝は桃花貝と区別することは難しいかも。
鎌倉の海岸では、原型のまま拾うことが非常に少ない貝です。お隣の逗子海岸で多く拾うことができます。独特な紅色がとても美しい貝です。
滅多に拾うことのできない貴重な貝です。絞り染めのような模様が特徴的な貝です。当店では過去10年間で2枚だけ拾いました。店内に展示してあります。
実は桜貝ではありません。でも、一部の地域では、この貝を“桜貝”と呼ぶ所もあるようです(お客様情報)。砂浜で太陽の光を受けてキラキラ輝く貝で、細かく砕くと雲母のような輝く粉が現れます。
当店では、鎌倉由比ヶ浜に打ち上げられた天然の桜貝をいかして、ネックレス・ピアス・リングなどのアクセサリーを製作しています。拾い集めてから1年以上の歳月をかけ、独自製法で丁寧に手作りしています。
鎌倉の由比ヶ浜は、能登の増穂ヶ浦、紀伊の和歌浦と並んで、日本小貝三大名所のひとつ。観光で鎌倉を訪れ、旅の思い出に、由比ヶ浜で桜貝を探しにいらっしゃる方もたくさんいます。年々少なくなり希少性が高まっている天然の桜貝ですが、由比ヶ浜では、年間を通して拾うことができます。
そこで、定期的にきれいな桜貝を拾いに由比ヶ浜を歩いている当店の桜貝拾い専門のスタッフが、初心者の方でも楽しく桜貝を拾えるコツをいくつかご紹介します。自然のものなので、確かなお約束はできませんが、よかったら参考にしてみてください。
1. 干潮をめざす
潮が引いて、海水面がもっとも低くなる時間帯は、海から届いたばかりの桜貝を拾うチャンス。だれにも触られていない、踏まれていない、圧倒的にきれいな状態の桜貝は、この干潮時に見つけることができます。
逆に、満潮の時は、波が貝をさらってしまうのでおすすめしません。干潮に間に合わなくても、午前中の早い時間帯であれば、拾える可能性が十分にあります。
できれば、鎌倉でお泊まりをしていただいて、朝の散歩をかねて桜貝拾いにお出かけしてみてください。
2. 寒い季節の方が、拾いやすい
「桜貝」という名前から、桜の季節である春に拾えるというイメージを持たれやすいのですが、実際には、秋口から春先までの寒い季節の方が貝が打ちあがってくるので、拾いやすい傾向にあります。
なかには、オオモモノハナガイのように、夏によく拾える種類もあります。
鎌倉の場合、夏はマリンスポーツや観光客も多く、浜辺の桜貝がすぐに踏まれてしまうので、夏に桜貝拾いに来るときは、やはり朝早い時間がおすすめです。
3. 波打ち際を歩く
桜貝を探すのなら、貝だまりを見つけて座り込むのではなく、なるべく波打ち際をゆっくりを歩きながら探してみてください。
海から離れて奥にいくほど、打ちあげられてから時間が経った桜貝ばかりで、日に焼けていたり、踏まれて欠けていたり、状態があまり良くありません。
打ちあがった桜貝は砂にぴったりくっついている状態なので、目が慣れるまでは探すのが少し難しいかもしれません。けれど、一度桜貝の色を見つければ、だんだんと目が慣れてきて、次々に桜貝の色が目に入ってくるようになります。
そうなると、貝だまりでなくても見つけられるようになるので、とにかくまずは歩いて探してみてください。
4. 持ち帰り用のケースも忘れずに
せっかく見つけた桜貝を、ティッシュやハンカチにくるんでポケットに入れて持ち帰ったら、家についた頃にはわれてしまっていた、という切ないことも多々あります。
桜貝はとても繊細なので、拾いに行くときは、タッパーなどの保存容器や小さな箱など、持ち帰り用のケースを持っていきましょう。
5. 宝探しの気分で
だんだんとコツをつかんで、桜貝を見つけられるようになっても、だいたいは片側1枚のみ、穴や欠けがあるものも多いです。
そんななか、きれいな状態の桜貝を見つけることができたら、とても嬉しいと思いますし、ごく稀に、2枚がくっついている合わせ貝を拾えたら、本当にラッキーなこと。
自然のものなので、確かなルールはありませんが、そのような遊び心をもって、気負いすぎずに、桜貝拾いを楽しんでみてください
もっともシンプルに桜貝を楽しむ方法。鎌倉の昔ながらの家では、大きな瓶のなかに少しずつ拾った貝殻をためて、窓際にオブジェとして飾ってあるのをよく見かけますが、風情があって素敵です。
当店では、お客様が拾った桜貝をお持ちいただいて、オーダーメイドの桜貝アクセサリーも製作しています。貝の洗浄や特別な樹脂にもこだわり、丁寧に仕上げるアクセサリーは、長くご愛用いただけます。
桜貝をドライフラワーと一緒に瓶にいれて、専用オイルでしあげるハーバリウム(植物標本)は、ご自宅で手軽に楽しめるアレンジ方法のひとつです。